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「そんなの変じゃない? きちんと贈与税も払っているのに」
 木村佳代子さん(仮名)が驚きの声を上げたのは、相続開始の3年前以内に被相続人から贈与を受けた財産も相続財産に含まれると、夫・聡さん(仮名)から聞かされたときでした。佳代子さんは先月亡くなった母・中川裕美さん(仮名)から2年前、裕美さんが所有していた土地建物の生前贈与を受け現在自宅として居住し、申告も納税もしていました。敢えて「相続時精算課税制度」(一定の条件のもとで、贈与であっても相続が発生するまで課税を先送りにする制度。こちらもご覧ください)は使いませんでした。
 ということは、生前贈与のときに既に納税しているにもかかわらず、更に相続税までもがかかってしまうのでしょうか? その心配はありません。対象となる贈与財産に係る贈与税の納税額は、相続税の税額から控除されます。具体的には、当該自宅を含めた金額で一旦相続税の総額及び佳代子さんを含めた相続人ごとの納付額を原則通りに計算した上で、佳代子さんが過去に納税した贈与税額を差し引いた差額を納める形となります。
(裕美さん以外からの贈与があった場合、贈与税額のうち贈与財産総額のうち裕美さんからの生前贈与分の割合に相当する部分を差し引きます)
 もし、これが裕美さんではなく聡さんからの生前贈与及び相続であれば、どうでしょうか。佳代子さんと聡さん婚姻期間が20年以上経過している場合、聡さんから贈与を受けた居住用宅地または居住用宅地を取得するための金銭については、「特定贈与財産」として贈与税の計算には含まれません(贈与税の配偶者控除)。贈与時にこれを適用しているのであれば、控除された特定贈与財産は相続財産の計算においても差し引かれます。ちなみに、生前贈与をした同じ年に聡さんが死亡した場合、つまり生前贈与の申告がまだこれからであっても、配偶者控除は同様に受けることができます。
 一見すると、贈与税と相続税が二重に課税されてしまうようにも思いかねません。基本的には贈与税は相続税を補完する税として位置づけられていますが、今回のケースではむしろ、既に納付した贈与税の分だけ相続税の負担を軽減しようという政策的な配慮によるものと言えます。


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