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注:画像はイメージです。


「ねえ、最近のお義父さん、どう思う?」
「やっぱり・・・だよな」
 妻の明子さん(仮名)に対し、内村和彦さん(仮名)は顔を曇らせながらうなずきました。
 内村さんの父・義彦さん(仮名)は歳を過ぎて身体そのものは健康ですが最近物忘れが目立つようになり、先日は明子さんに辛く当たることもありました。
「できれば、親父が元気なうちに話をつけてはおきたいとこだけどな・・・」
 内村さん夫婦のもう一つの悩みは、義彦さんの相続です。和彦さんは四人きょうだいの末っ子ですが、ここ数年は互いに疎遠な状態が続いています。「争族」を避けるためにも、義彦さんと相談しようと思いつつも、なかなか話を切り出せないでいました。
 では和彦さんには、どのような方法が考えられるでしょうか。
①成年後見制度
 和彦さんが義彦さんの成年後見人となれば、義彦さんの症状が進んでも、和彦さんの意思によって義彦さんの財産を処分すること等が可能になります。しかし、成年後見人として認められるには家庭裁判所に申請しなければならず、義彦さんの意思能力によっては認められるとは限りません。
②遺言書
 遺言書には自筆で作成する方法と公証人を活用する方法の二つに大別されます。前者の場合、必ず本人の手書きでなければならない上に、せっかく作成した遺言書が後から改ざんされてしまったり、遺言書そのものの存在に気づかれないリスクがあります。その点、後者であれば義彦さんが自分で書くことが出来なくても公証人が代わりに文章にしてくれますし、義彦さんが死亡するまでの間厳重に保管されます。
ただし、いずれの場合でも民法の原則を無視した相続(例えば、きょうだいの遺留分を無視して全財産を和彦さんが相続するなど)が認められるわけではありません。
③民事信託
 ちょっと馴染みの薄い言葉ですが、簡単に言えば「財産を所有する権利」と「財産から得られる利益」を分けて管理する仕組みです。信託銀行などが業として行う「商事信託」に対し、当事者同士でルールを決めて行う信託を民事信託といいますが、それを家族同士で行うものを家族信託とも呼びます。例えば、和彦さんが義彦さんの委託を受けて財産を管理し、その財産や財産から得られた利益を三人のきょうだいに分配するという手法も可能になります。
 こちらの詳細については、次回以降で解説する予定です。


  ①成年後見 ②遺言書 ③民事信託
メリット ・財産の保全や処分がある程度スムーズにできる ・手軽に出来る(自筆) 
・改ざん、失念の心配がない(公証)
・財産の柔軟な管理
・運用が可能 
・生前から実施可能
デメリット ・家庭裁判所の審査が必要 ・形式の要件が厳格 
・改ざん、失念のおそれ(自筆)
・手数料や証人の立会が必要(公証)
・スキームによっては多額の相続税・贈与税が生じる可能性

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