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注:画像はイメージです。


「困ったのぉ。何とか支援してやりたいんだが」
「まだ家のローンが10年以上残ってるのにね」
 田中太郎さん(仮名)と妻の章子さん(仮名)が心配していたのは、息子の桂太さん(仮名)の長女・桜さん(仮名)の学資金でした。大学受験を控えた桜さんですが、私立大学に進学したり一人暮らしを始めたりすれば、桂太さんの負担は一層重くなります。
出来る事なら、学資金だけでなく住宅ローンも含めた生活費の補填に回してあげたいと太郎さん・章子さんは考えています。また、相続税も不安なので、生前贈与で財産を少しずつ減らしたいという思いもありました。ちなみに、教育資金の贈与税非課税制度も検討しましたが、教育目的以外の資金に回すのは制限されてしまいます。
 二人の手許には1千万円のお金がありますが、そのまま渡すと桂太さんに贈与税が発生します。税法の改正により直系尊属からの贈与に対しては通常より低い税率が適用されるようになったとは言え、(1千万円-110万円)×30%-90万円=177万円も課税されてしまうのです。
 この場合、桂太さんの負担を抑える方法が2つあります。1つはいわゆる「暦年贈与」です。毎年110万円を超えない範囲であれば申告も不要で課税もされません。ただ、親族であっても契約書を交わし、かつそれぞれの保有する口座を用いてお金を移動させることをお勧めします。
 もう1つは、相続時精算課税という制度です。これは、生前贈与であっても贈与した人が死亡したときの相続財産として他の相続財産に含めて計算するものです。分かりやすく言えば、死亡するまでの納税の先延ばしですが、相続税であれば贈与税より税率は安くなりますし、生前贈与した財産を含めても相続財産自体が相続税の基礎控除より少なければ、もちろん課税されることはありません。これを適用するためには、贈与税の申告を贈与のあった翌年の3月15日までに行う必要があります。
 しかし、以下の注意点があります。特に③は要注意です。
①受贈者の戸籍謄本または抄本が必要(本人の本籍地の市役所等で入手)。
②贈与のあった年の1月1日時点で、贈与者は60歳以上、受贈者は20歳以上の子または孫であること。
③暦年贈与の制度が使えなくなる(110万円未満でも課税される)。
④上限が総額で2千5百万円まで。
⑤申告後に適用を取り消すことが出来ない。

 不動産の生前贈与や、やむなく一度に多額の資金を譲る必要がある場合には、こちらを活用しますが、そうでない限りは一つ目の暦年贈与が無難と言えるでしょう。


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