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「はあ…これって1円も入って来ないのと同じじゃないか。兄貴を無理矢理追い出して売るわけにもいかないし」
 5年もかけて兄の敬太さん(仮名)を相手に裁判を続け遺留分を勝ち取った山村洋太さん(仮名)は深いため息をつきました。「生前にギャンブルで使い果たした」という兄の言葉を信じられず、父・良太さん(仮名)の財産を隠しているに違いないと疑っていた洋太さんでしたが、結局敬太さんの言うとおり、自宅の土地建物を除いて財産はほとんどありませんでした。良太さんの自宅は敬太さんが相続し住んでいます。罪悪感も頭をよぎりますが、もはや後の祭りです。
「全部取られるわけじゃないからいいけど…これからどうなるんだろう?」
 一方、敬太さんと妻の貴子さん(仮名)も頭を抱えていました。良太さんから生前、全財産をお前に譲ると遺言を受けた敬太さんでしたが弟の洋太さんが異議を唱え、ありもしない財産を隠しているとまで言われながら5年もの裁判を耐え抜きました。問題は自宅の土地建物を含めて4分の1という判決です。自宅以外の相続した財産では賄いきれません。
「このまま4分の1が洋太の持ち分になると、家を売れなくなるんじゃないか?」
 実は敬太さん夫婦は10年後に自宅を売り、老人ホームに移り住む計画を立てていました。自宅が洋太さんとの共同名義になると、敬太さん一人で売ることが出来なくなり、計画は狂ってしまいます。かといって、洋太さんと一緒に家を売る相談なんて今更できるはずがありません。
 ここも平成30年の民法改正が関与していますが、判決等により遺留分が認められた場合、従来は不動産であれば持分割合に反映されます。山村さん兄弟の場合、土地建物についてそれぞれ4分の1が洋太さん、残りの4分の3が敬太さんのものとなります。しかし不動産は共有名義となってしまうため、双方が同意しないと売買したり家を建て替えたり出来なくなる問題が生じてしまいます。これでは、誰にとってもメリットがありません。
 そこで救済策として、共同名義にするのではなく遺留分に相当する金額、すなわち土地建物の価値が4千万円の場合、敬太さんが1千万円を洋太さんに支払う方法に改正されたのです。敬太さんがすぐに払えない場合、一定の猶予を裁判所が認めることもできます。
 でも、出来ることなら最初から争わずに済むのが、やっぱり一番ですよね。i


不動産の相続と遺留分の関係


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